運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~


 * * *


あれは、小学校高学年の頃だったと思う。

俺は昔から手先が器用だったから、バレンタインにチョコをくれた女の子へのお返しに、手作りでビーズのブレスレットを作ってプレゼントした。

その子は同じクラスで少し気になっている子だったから、気持ちを込めながら丁寧に作り、完成したブレスレットもわりと自信作だったのに、女の子の喜び方は微妙……というか、むしろガッカリしたような雰囲気だった。

どうしてかと思っていたら、女子の間でこんな噂が回っていると友達から教えられた。

“藍澤くんにチョコをあげても、特に高価なお返しがもらえるわけではないらしい”

――なんて、まるで俺が実験台だったかのような、不愉快な噂が。

俺には兄と弟がいるが、彼らはそういう女子の生態をすんなり受け入れていて、ホワイトデーには最初から母親が選んできた高級パティスリーのマカロンを配り歩き、女子をキャッキャと喜ばせていた。

そりゃ美味しいだろうけど、バレンタインやホワイトデーって、気持ちを確かめ合う行事なんじゃないのか?と俺はどこか腑に落ちず……。

その出来事が、女の子を見る目がひねくれ始めた、最初のきっかけだった。


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