運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~


「お前は優秀な医者だが、うちの病院ではせっかくの才能や技術を持て余してしまうようだ。……それでな、実はお前を欲しがっている先生がいるんだ。ちょうどいい機会だし、彼の病院に移ったらどうかと思っているのだが……」


想定外の宣告に、ショックを受けないわけがなかった。返事はとりあえず保留にしたが、この病院で医師を続けることがつらくなり始めたのも事実だった。

俺は客観的な意見が聞きたくなり、ある男に相談することにした。


暇な時間を見計らって訪ねたのは、脳神経外科の医局。

デスクに向かって無表情でパソコンを打つ、色白で吊り目の脳外科医、時任類(ときとうるい)は、俺がにこにこと手を振っても笑顔を返すことはない。

その無愛想な様子からサイボーグなんて呼ばれているちょっと変な奴ではあるが、脳外科医としては優秀で、オペに関して意見交換をすることもあった。

加えて同い年ということもあり、顔を合わせれば雑談をする仲である。

そんなわけで時任にわりと気を許している俺は、空いていた彼の隣のデスクの椅子に腰かけ、かいつまんで事情を説明した。


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