運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
こんなにも運命を感じられる人と出会えることなんて、もう二度とないよね。父に結婚話を持ち掛けられたのと同じタイミングで彼に出会えたことも、きっと運命が導いた奇跡――そう、信じたい。
「私も、あなたのものになりたいです……永遠に」
心の声に従って、私はそう返事をした。
天河さんがホッとしたように表情を緩ませ、顔を近づけてくる。キスの予感に目を閉じた瞬間、まぶたの向こうの景色が急に薄暗くなった。
どうして……と思っているうちに、唇に触れた柔らかく甘い感触。
あ……私の、ファーストキス……。なんてしみじみ思っていられたのは最初だけ。
最初は羽根のように軽く優しかったキスが、次第に深いものに変わっていく。
「ん、ふ……っ」
強引にねじ込まれた舌にびっくりしたけれど、耳の脇にあった天河さんの手が後頭部に回り、甘いキスの応酬から私を逃がしてくれない。
ぎこちなくキスに応えながら呼吸困難を起こしそうになっていると、ようやく天河さんが唇を解放してくれ、私はキスの余韻でぼうっとしたまま彼を見つめた。
「上、見てごらん?」
「うえ……?」
思考能力が低下している私は、言われるがまま頭上を仰ぎ見る。そこには、水路の両側の建物をつなぐようにして造られた、渡り廊下のような白い橋があった。
あ……そっか。ゴンドラがこの下に差し掛かったから、暗くなったように感じたんだ。