運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
「ここ、ため息橋っていうんだけど、地元の言い伝えでは、日没時にゴンドラに乗ってこの橋の下でキスをしたカップルは、永遠の愛が約束されるんだって」
「永遠の愛……」
じゃあ、私たちも……? 期待のこもった視線を天河さんに向けると、私の気持ちに応えるように深く頷いてくれた。
「俺たち、結婚しよう。一緒に帰国して、きみのお父さんのことも説得してみせる」
「天河さん……そこまで、私のこと……」
男らしいセリフに感激して、瞳が潤んだ。
相手が天河さんなら、結婚に躊躇する理由もない。この人こそ、私の求めていた運命の王子様なんだもの。
父だって、真剣に愛し合う私たちを見たら、きっと納得してくれる。
ロマンチックな気分に浸ってうっとりしていると、天河さんが冷静に尋ねてきた。
「……それで、さ。どうする? 今夜泊まる場所。一緒に帰国するんだから、一緒にいた方が何かと都合がいいと思うけど」
「えっ。……あっ、と……その」
そういえば私、今夜泊まる場所がないんだった。
天河さんは、遠まわしに自分の部屋においでと言ってくれているんだろうけど……そうなったら、キス以上のことが待っているよね?
相手が天河さんなら、私は勇気を出してすべてを委ねる覚悟だ。でも、彼の方は私が処女だと知ったらどうだろう。
経験ないですって、正直に言った方がいいんだろうか……。