運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
「おはよう」
枕元に肘をついて頭を支える彼に無防備な笑顔を向けられ、私もはにかんで挨拶した。
「おはよう……ございます」
好きな人と一夜を共にしたあとって、こんな感じなんだなぁ……。
すべてをさらけ出した後の気恥ずかしさと、けれどそのすべてを受け入れてもらえたことの安心感と。昨日よりぐんと成長している、天河さんへの愛しさで胸がいっぱいだ。
早く日本に帰って、父に私たちのことを報告したいな。そして、天河さんとの結婚……。
そんな、これから自分を待っているであろうバラ色の未来を、頭に思い描いていた時だった。
「……それで、どう? 悪魔に抱かれた感想は」
ふいに投げかけられた天河さんからの質問に、私の思考回路が一瞬フリーズした。
今……彼はなんて言った? 悪魔に、抱かれた……?
「あの……よく、意味が……」
曖昧な笑みを浮かべて首を傾げると、顎をくいっとつかまれて、妖しく細められた瞳に至近距離で見つめられる。
明らかに戸惑っている私にフッと微笑んだ彼は、信じられないひと言を口にした。
「俺の名前は、藍澤天河。美琴ちゃん、きみのフィアンセだよ」