運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
「ええ。ほかの心臓外科医にもかなりいい影響を与えていますよ」
「そうかそうか。お前のとこは、いい医者が多いんだな」
「ええ。自分で言うのもなんですけど、意欲的な者が多いですね」
「……全く、何人か交換してほしいくらいだよ」
ははは、と低い声で笑ったあと、父が思い出したように私を振り返って、男性に紹介した。
「娘の美琴です。こちら、中谷先生だ。うちの病院に来る前、藍澤くんが勤めていた中谷総合病院の院長先生」
そっか、藍澤先生が前いた病院の……。納得しながら、にこやかに挨拶する。
「初めまして、神鳥美琴です」
「こちらこそ、初めまして。うちの娘と違って素直そうで可愛いなぁ。うちも一緒に来てるんだが、あっという間に男漁りに出かけましたよ」
やれやれと呆れる中谷先生を、父がフォローした。
「いいじゃないですか、積極的で。うちは早く藍澤くんと結婚しろと言っているのに、なかなかうんと言ってくれなくて」
「そうなのか? 美琴さん、マリッジブルーか?」
「……いえ、そういうわけでは」