運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
「自分が出世の道具にされてるのを知ってて結婚するって、どんだけドМなんですか? しかも、あんなハイスペックな極上イケメン、結婚したって言い寄ってくる女は絶対いるから、浮気されるの確実じゃないですか。今日、一緒に来てないってことは当直ですか? 今頃当直室に、他の女連れ込んでますよ」
こ……この人、黙って聞いていれば好き勝手なことばかり……。
ぷっつりと、頭の中で理性の糸が切れる音がした。
藍澤先生に怪しい部分があるのは、否定しない。後継者うんぬんに関しても、父と彼の間でそういう約束があったことを、すでに本人も認めている。
私だって、徐々に彼を理解していくなかで、“もしかして悪魔?”と感じることもあるけど……なんでだろう。他人に私たちの関係をとやかく言われるのは、すっっっごい腹立つ。
私は蘭子さんの前につかつかと歩み寄り、ぎろりと睨みつけた。蘭子さんは私が泣き崩れるとでも思っていたのか、ぎょっとして身を引いた。
「……なによ」
不気味なものでも見るような目の蘭子さんに、胸を張って言い放つ。
「ご忠告ありがとうございます。でも私たち、ただの政略結婚じゃないので大丈夫です」
「は?」