眠らせ森の恋
 




 土曜日。

 いつもは奏汰が帰って来る前に編んでいるのだが、お休みの日だったので、食事後、ソファに座り、つぐみは、せっせと編み物をしていた。

「……今度はなにを始めた」
と前を通り過ぎようとした奏汰が、警戒したように見ながら訊いてくる。

「編み物です。
 そろそろ寒くなりますから」
と言うと、胡散臭げに、

「……誰のだ、それは」
と問われた。

 お父さんのか、と訊かれ、

「お父さんにこんな派手なのあげたら殴られます。
 だいたいあの人、私が小学生の頃、一生懸命父の日に編んであげたマフラーを――」

「待て。
 父の日って、六月だろ」

 これから夏に向かうのにいるわけないだろ、そんなもの、と言われてしまう。
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