眠らせ森の恋
 



 そのうちわかります、と言ったあと、せっせと編み続けるつぐみを奏汰は見ていた。

 ……誰のなんだ、それ、と思う。

 父親のではない。

 男物のような色合いだが、意外に渋い趣味かもしれない。

 自分のかもな。

 寒がりなようだし。

 俺に編んでくれる義理はないだろうし。

 いや、婚約者なのに義理はないってのもおかしな話だが、と思いながら、黙って前から見下ろしていたが、

「待て。
 おかしくないか? そこ」
とつい、口を出してしまう。

「え? 何処がですか?」
とつぐみが顔を上げた。彼女はソファの上に広げている編み図を見ながら編んでいたのだが。

 なんとなく見ていたそこに書かれている記号と明らかに違う気がしたのだ。

「編み図を見ろよ」
と言うと、

「よくわからないんですよ、編み図。
 宝の地図より判別しづらいですー」
と主張してくるので、いや、お前には、解読できた宝の地図があるのか、と思ってしまった。
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