眠らせ森の恋
「なにか目にいいカクテルでも作ってやろう。

 ……赤ワインでもいいんだが。

 アントシアニンがたくさん入っているから」

 ただワインを注ぐだけでは物足りないらしい。

 なにか作りたいようだ、とキッチンに向かうその背中を見ながら思った。

 慣れない編み物をやって、なにか得意なことをやりたくなったようだ。

「よし、カシスにしようか。
 カシスもアントシアニンが豊富だからな。

 女性が好むというカシスオレンジにしてやろう」

 偏見ですよ……と既に黒いカシスリキュールのボトルをつかんでいる奏汰を見る。

 実は私はカシス、苦手なんです、と思ってはいたが、せっかく作ってくれるというので、黙っていた。

「カシスオレンジは、カシスリキュールとオレンジジュースを混ぜるだけでいいんだが」

 混ぜるだけというのが気に入らないようだ、と見ていると、いきなりオレンジを切って絞しぼり始めた。

 一手間加えたいんだな……。
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