眠らせ森の恋
 



「何処行ってきたの?」
 無言で戻ってきて、小会議室の椅子に座ったつぐみに、英里が訊いてくる。

 あ、しまった、とそのとき思った。

 つい、サイズが気になって、編みながら社長室まで行ってしまった。

 英里が身を乗り出し訊いてきた。

「ねえねえねえ、それ、誰の?」
と興味津々だ。

「……しゃ」

「しゃ?」
と英里と正美が身を乗り出す。

「……斜に構えた弟のです」

 なにそれ、と英里が言った。

「彼氏の?」

 うう、違うと言いたいが、
「そ、そうです」

 仕方なく、そう答えた。

「そろそろ寒くなってくるので、手編みのセーターで――」

 うんうん、と微笑ましげに正美が聞いてくれている。

「身体を温めて、早く寝て欲しいな、と」

「だから、彼氏寝かせてどうすんのよ」
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