過保護な御曹司とスイートライフ
「あの……」
「おまえが無事でよかったっていうのが本音だし、だったら細かいことなんかどうでもいいんじゃねーかとも思うんだけど」
「……はい」と相づちを打つと、成宮さんが眉を寄せる。言いづらいことみたいだった。
「おまえに異常に執着してる婚約者と一緒にされたくねーんだけど……だからってずっと我慢してられないから単刀直入に聞く。……なんでおまえから慶介の匂いがするんだ?」
真面目な声で問われる。
成宮さんは普段から基本的に真面目だけど、声のトーンが全然違った。
慎重さが見える低い声に、一瞬息を飲んでからゆっくりと口を開いた。
「慶介さんからは、なにも聞いていないんですか?」
「ああ。棚田が椅子蹴り上げたり怒鳴ったりしておまえを怖がらせていたって報告を受けただけだ」
きっと慶介さんは、私の為に黙っていてくれたんだろう。
それはわかるけど……自分の口から言うのはバツが悪いな、と思いながら成宮さんを見上げた。
バツは悪いけど、こんなふうに聞かれて黙っているつもりもない。
「私、父親が一時期そうだったからか、男の人が怒鳴ったりしてるのって苦手なんです。だから今日、棚田さんに怒鳴られたときも怖くて、腰抜かして泣いちゃって……慶介さんが抱き起して慰めてくれたんです」
いい大人なのに本当に情けない。
そう思い、苦笑いを浮かべると、成宮さんは目を見開いてから心配そうに表情を崩した。
握られたままの手に、力がこもる。