過保護な御曹司とスイートライフ


「鈴村さん、ごめん! 手料理、また今度食べさせて! じゃあね、アッキー」

「あ、はい……」という返事が聞こえたかどうか。
すごいスピードで部屋を後にしてしまった慶介さんにポカンとしていると、成宮さんが玄関まで歩き、鍵をかけて戻ってくる。

ぼんやりとその様子を見ていると「キウイとチョコ……これか」と、キッチンのシンクの上の紙袋を成宮さんが覗く。

「はい。キウイはもう熟してるって言ってたし、明日の朝にでも食べますか?」
「そうだな。でも、食い切れるかな。すげー量」

苦笑いをもらす成宮さんの手元を覗くと、紙袋の中には二十個近いキウイが入っていた。
慶介さんが持ってきたときから、ずっしりして重たそうだなぁとは思っていたけれど……それにしてもすごい。

「ジューサーでジュースにしちゃうと結構あっという間に終わっちゃいますよ。……でも、成宮さんたくさん食べるから普通に食べても一週間で食べきれるんじゃないですかね」

「んー、俺、飯はいくらでも食べられるけど果物とかデザート系ってあんま得意じゃねーんだよなぁ」

後ろ頭をかきながら言う成宮さんを「そうなんですか」と見上げていると……ふと視線がぶつかる。

なにか言いたそうな瞳に、なんだろうと思っていると「慶介になにもされなかったか?」と聞かれ、苦笑いを浮かべた。

「はい。さっきのも、ただ、合コンでする遊びを教えてくれてただけなので。……さっきみたいなの、成宮さんもするんですか? お菓子を口で渡すゲーム」

慶介さんは、みんなが当たり前みたいにしているって説明していたし、男同士だと結構すごい話もするって言っていた。

だから、成宮さんもそんなことして遊んでるのかな……とふと疑問に思い聞くと、困ったような笑みを返される。

「まぁ、学生の頃はそういうノリがなかったとは言わないけど……俺はあまりしたことない。それに、この歳になって合コンとか行ってんの、あいつくらいだろ」
「そうなんですか……」


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