過保護な御曹司とスイートライフ


受付の仕事には基本的には残業がない。だから、大体決まった時間に帰宅できるのはとても助かる。

今日も、十八時前に会社を出て、十八時十五分には成宮さんのマンションにつくことができた。
そこから、軽く掃除機をかけ、夕飯の準備に移る。

鶏肉と野菜を切って、バターで炒めたあとじっくりと煮込む。その間に、浴室乾燥にしていた洗濯物をカゴに取り込み、お風呂掃除を済ませたとき、玄関が開く音がした。

時計を見ると、まだ十九時半。いつもよりも早い帰宅だな……と思いながら「おかえりなさい」と声をかけると、リビングに入ってきた慶介さんが「ただーいまっ」と明るい笑顔を覗かせた。

初めてここを訪ねてきて以来、慶介さんは割と頻繁に顔を出すから、こういう突然の訪問ももう驚いたりはしない。

「こんばんは」と挨拶してから、シチューの煮込み具合を見るためににんじんに竹串をさしていると、隣から慶介さんが覗きこんでくる。

「なに作ってんの?」
「シチューです。白い方の」
「へー。……もしかしてシチュー系しか作れないの?」

悪気のない顔で聞いてくる慶介さんに、苦笑いを浮かべながら答える。

「慶介さんが訪ねてくる日がたまたまシチュー系の日なだけです。……それに、成宮さんが食べたがってたから、それで」

食べたくて作ったのに、あんなシャバシャバした牛乳煮込みになっちゃって可哀想だから、と心のなかで呟いていると、慶介さんは「そっか」となぜだか嬉しそうな笑みで言った。

洗濯物を畳むためにソファに移動すると、慶介さんもついてきて、私に倣い洗濯物を畳んでくれる。




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