過保護な御曹司とスイートライフ


たぶん、性格からして隠し事とかしないタイプだろうし、成宮さんにしてみれば秘密にしておく意味もよくわからないんだと思う。

例え、なんでバラしたんですかって責め立てたとしても〝だって事実だろ?〟って平気な顔して言うのが目に見えるようだった。

……別にいいけれど。お世話になっているのは事実だし、周りの目がうるさくなったところで、そこまで気にもならないけれど。

それでも、成宮さんに釘を刺しておくべきだったなぁとぼんやり後悔する。

受付近辺にいるらしい魔物は時間操作はしてくれないんだろうか。
できることなら時間を昨日の夜まで戻して欲しい。

「…………え?」

長い長い沈黙のあと、まだわからなそうにそれだけ呟いた矢田さんの声を聞きながらそんなことを願った。


そんな矢田さんの態度を見て、さすがに思うことがあったのか、成宮さんは私を呼ぶと受付から少し離れた場所で『バラしちゃまずかったか?』と耳打ちしてきた。

顔を見ると、深刻そうな目をして私を見ているから、ふっと笑いながら首を振った。

『いえ。気にしないでください』
『でも、女同士って面倒なんだろ? 陰での嫌がらせとかがえげつないって慶介が言ってた』

『大丈夫です。……それに、親にはもう辞めろって言われてるし、いつまでこの会社にいられるかもわかりませんから』

『は?』とした顔のまま固まってしまった成宮さんに『花嫁修業しなさいって、うるさくて』と笑顔を作ったけれど。

成宮さんはそんな私をじっと見て……ただ黙っていた。




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