ロング・バケーション
食べると元気が出てきて、明日からもまた仕事頑張ろうと思えそうだけれど___



「凛さん?」


向かい側から声がして顔を上げた。
何故だかドクターの顔がボヤけていたから、あれ…と呟いた。


「どうして泣いてるんだ?」


訊ねるドクターに、何故でしょうねと言いながら目尻を拭う。
指先に付いた水滴に変なの…と呟き、自分でも訳が分からず戸惑った。


「意味もなく泣くなんておかしいですね」


さっきまでは祖父との言い合いで怒っていたのに、何を泣いているのだろう、私は。


「先生の味付けが優しいからかな」


憤りを受け止めて貰った様な気がした。
そう思うと納得の行くところがあり、少し気持ちの整理がつきそうだった。



「凛さん」


ドクターは真面目な声で名前を呼ぶ。
顔を見ると神妙な表情でいて、その唇がきゅっと締まった。


「実家で何があったんだ?」


私は自分の中で整理がつきそになっていたのに、ドクターはやはり聞かないと安心出来ないみたい。

スルーしておきたかったのに無理か…と諦め、オムライスを食べながら仕様がなく口を割った。


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