彼は高嶺のヤンキー様(番外編)



一応、確認のために聞いた。



「やっぱ、凛たんか?」

「凛だよ・・・!」





俺と瑞希が言う『凛たん(凛)』とは、フルネームを『凛道蓮』と言って、俺らの後輩になる15の可愛いお子ちゃまだ。

俺らが作った暴走族、龍星軍(りゅうせいぐん)の4代目総長をしている。

総長決めの勝ち抜き戦に、イレギュラーで登場し、チーム名・【龍『星』軍】にふさわしく、彗『星』(すいせい)のごとく表れた期待の『星』だ。

性格は、素直で礼儀正しい天然で、時々、なんちゃって天然で、敵にダメージ与えるが、瑞希はもちろん、俺ら初代メンバーも気に入っていて、瑞希の指名と本人の希望で4代目にした。



(天然とは言ったが、ちょっとズレた感じだな。)



ハッキリしてるのは、誰がどう見ても、自他共に認める高校デビューのヤンキーちゃん。

言葉遣いからして、ヤンキーらしくない態度と、見た目小動物の無害さ。

基本、自分からケンカは『売らない・買わない・もめごとは話し合いで解決しよう!』の平和主義者。

ケンカしないのはヤンキーらしくないが、弱いとか根性がないんじゃなくて『面倒くさい』から。

そんな理由で、嫌がるケンカをする時は、ガチバトルとなれば、情け容赦なしで、ベテランヤンキー顔負けの戦い方をする。

マジで情け容赦ないかと思えば、そこらの男以上に漢を見せ、懐の深さと、器の大きさを見せる、情のある強い硬派に早変わりするのだ。

それを本人、無自覚でしているところが、凛たんのすごいところ。

他の奴には真似できない、カリスマってやつだな。

マジで情に厚くて、他人を思いやれ、自分より他の奴を優先する。

敵に対しても、筋を通した相手は、迷うことなく助ける。

敵である凛道蓮の強さを認めたばかりにリンチにあっていた馬鹿正直でも、騙されて凛道蓮の仲間を傷つけた半グレでも、凛道蓮を騙して売り渡そうとしたハンターでも、凛たんの無自覚なイケてる優しさの前では、イチコロ。

最後は、舎弟やマブダチ、家来に立候補してくる。

男がそうだから、もちろん女達も、凛道蓮を放っておかない。



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