溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「下のジムに行ってたんだ」

 このハイタワーマンションには、プール付のフィットネスジム、エステサロン、クリーニング、内科クリニックとデンタルクリニックが入っている。椿はなるほど、と納得した。

「椿も自由に使えるから、好きに通えばいい」

「はい。あ、では今からシャワー?」

「ジム内にジャグジーがあるからもう済ませてきたよ」

「じゃあ、急いで朝食を作りますね」

「ゆっくりでいいよ」

 ふるふると顔を振り、椿は急いでキッチンに向かった。

 真壁にはベーコンエッグのホットサンドを用意し、自分には昨夜のアップルパイを温める。ドリンクは真壁がブラックのコーヒー、自分はカフェオレにした。そこにサラダを添える。

「今までは会社でコンビニのおにぎりだったんだけど、朝から温かいものが食べられるっていいね」

「これくらいは簡単なので」

「そう? 椿は料理がうまいからありがたいよ」

 誰にでもできる簡単なものなのに、そんなふうに褒められるとどうしていいのか困ってしまう。でも、うれしい――胸の内で喜び、アップルパイを頬張った。

「あ、おいしいっ」

 ラズベリー入りのアップルパイは甘みと酸味があってとても爽やかな味わいだった。もう一つのアップルパイはシナモンを利かせたノーマルなもので、シンプルだからこそリンゴの味わいが深い。

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