溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「そんなかたっくるしい言い方、イヤだわ。私に日本のマナーは不要よ。わからないからツバキの対応がどれだけ完璧でも評価できないしね。まぁ、この通り、日本語はマスターしてるつもりだけど、あくまで日常会話だから。ふふ、気軽にマリって呼んでくれていいから」

「・・・・・・・・」

「私は今、二十七よ。でも、二十二ってことは、新入社員? 一概にはいえないのかな」

「いえ、おっしゃる通りです。今月入ったばかりです」

「あ、そうなのね。いえ、そんなことはどうでもいいんでしょうけど、でも、社会人になって間もないって緊張するでしょう? 私もそうだったもの」

 楽しげに話すマリになんと返していいのかわからず、そしていつまでいるのかと思い、椿は途方に暮れた。さり気なく視線を動かしてテーブルに置かれている置き時計に目をやると、四時五〇分を指していて、仕事ができずによくわからない女の会話につきあいわないといけないくらいなら、帰りたいと思えてくる。

「じゃあ、まだタクミのこと、よく知らないんじゃない?」

「え・・そう、ですね」

「仕事に役に立つでしょうから教えてあげるわ。このまま食事に行きましょう」

 え? と目を見開くが、マリは自分の提案が最上だと思っているのか楽しそうに笑っている。

「宿泊のホテルに入っているレストランで和食がおいしそうなのよ。一緒に行きましょう」

「あの、いえ、わたしは」

「いいじゃない、ご馳走するわよ」

 そういう問題じゃない、と言いたいがマリはさっさと立ち上がってカバンを肩にかけている。

「まだ仕事が残っています。申し訳ありませんが」

「そうなの? そんなの明日にすればいいのよ。それにタクミ、帰ってこないんでしょ? だったら残業なんてする必要ないわ。私がタクミに言ってあげるわ。残業させちゃダメでしょって」

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