溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「他にもお弁当派がいるわ。それに、私はいつも一人で食べているから大丈夫よ」

「そうなんですか?」

「ええ。電話とかかかってくるし、自分の代わりがいないからね。あ、こっちよ、テイクアウトのコーナーは」

 少し行くと売店のようなショップと、お持ち帰り用の温かな食べ物が売っているエリアにやって来た。

「テイクアウト用でもこんなに品ぞろえ豊富なんですね。ビックリ」

「えぇ、このビルだけで万単位の人がいるわ」

「万単位……」

「派遣とか、出入りの業者とか、利用者は社員だけじゃないから。好きなの買ってきて。ゆっくり選んでね」

「すみません、行ってきます」

 椿は目を輝かせて売られているものを見て回った。が、目移りしてしまったことと、山瀬を待たせているので並ばなければいけないものを避けたので、出来合いのお弁当にしてしまった。

「すみません、お待たせしました」

「いいのよ。じゃあ、行きましょうか」

「はい」

 椿は山瀬の横を歩きながら、胸の内でそっとこぼした。

(優しそうな人でよかった。頑張れそう)

 二週間で仕事を覚え、その後は一人で真壁をサポートしなければならない。ただでさえ覚えることが多いだろうに、そこに引き継ぎ者がこわい人だったら緊張してしまって覚えるに覚えられないだろう。山瀬が優しそうなので、椿はひとまずやっていけるかも、と安堵したのだった。

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