溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「〝あしながおばさん〟なんです」

「まぁ! マダムなのね! ますます素敵だわ。女性の目は厳しいんだから。ふふ。ツバキとは仲良くなれそうだわ。これからよろしくね」

「え、あ、はぁ」

 返答に窮して困惑していると、マリはハンドバッグからスマートフォンを取り出した。

「セルラーの番号を教えてくれる? あと、メアドも」

「えぇっ!?」

「ツバキとは仲良くやりたいわ。グランパが人を惹きつける魅力ある人間とは懇意にさせてもらいなさいって言うの。そういう人が持っているパワーは計り知れず、周囲を幸せにしてくれるからって」

「わたしはそんな立派な人間じゃないので・・」

「立派とか立派じゃないとか、そういうのは関係ないわ。人間力よ。愛される人には魅力があるの。グランパが言うのだから間違いないわ」

 そう言われても・・という気持ちを口にはできず、もごもごしているとマリが再びスマートフォンを椿に突き出して指さす。

「ツバキも早く」

 でも、わたしは知りたいと思っていないし、教えるのも気が進まないのだけど・・と思っても、マリは引き下がる様子もないのでやむなくカバンからスマートフォンを取り出した。

「番号は?」

 催促されて番号を口にすれば、そのままフリックをする。椿のスマートフォンがバイブ音を伴って振動を始めた。が、すぐに停止する。

「登録しておいてね」
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