溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「タクミから聞いたわ。つきあっているんだって?」

「――――――」

「どうしてそこで沈黙するのよ。そうです、って肯定するのがあなたの立場でしょ」

「・・すみません」

「なんで謝るよの」

「だって・・マリさん、匠さんと結婚するって思っていたんなら、私が・・」

「そうよ、邪魔したのよ」

 ピシャリと言われ、椿は口を噤んでしまう。返す言葉なんてまったく思いつかない。

「それに、今だって、タクミが帰ってくるのを待っていたんじゃなく、あなたを待っていたんだからね。この話をするために」

 椿の瞳に絶望的な色が浮かんだ。それをマリは目を眇めて見返すが、すぐに視線を逸らせた。

「まず言いたいことだけ先に言わせてもらうわ。こっちに来て五日経つのにタクミったら忙しいから時間が取れないの一点張り。家に来られても困るって言われ続けていたのよ。頭に来たから、ツバキにスケジュールを取ってもらうって言ったら、なぜツバキを知っているのかって逆に問われて、月曜日のことを話したの。そうしたら、そのツバキとつきあっていて、同棲しているって言われた。私が受けたショック、わかる?」

「・・・・・・・・・」

「追求したら、あなたとの関係を説明されたわ。どんなに想ってくれても報いるつもりはないって突き放された。確かに両家ともそのことは望んでいるかもしれないけど、マリのことを女性として見ていないってことは知っているはずで、結婚すると思い込んでいるのはマリだけだって」

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