溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 ここまで言い切って好きだと言ってくれる真壁に、なんと礼を言えばいいのだろうか。そしてこんなに想ってくれているのに出会いを思い出せない自分の情けなさをどう詫びればいいのだろうか。

 いくら考えても、どうしても思い出せない。

(どうして思い出せないの? どうして?)

 涙がこみ上げてくる。鼻の奥がツンと痛い。

「マリ、ホテルまで送るから帰れ」

「タクミ・・」

「今は受け入れられないだろうからこれ以上言い合っても傷つくだけだ。ゆっくり考えてほしい。落ち着いたら僕が言っていることが正論だってわかるはずだ。僕らは家族ぐるみのつきあいの良き友人関係だ。互いの性格はわかっているはずだ。そうだろ?」

 潤んだ瞳で真壁を見つめるマリの表情が痛々しい。

「マリが幸せになりたいと思っているように、僕だって幸せになりたいと思っている。椿を想う僕のこの気持ちを受け入れてほしい。友人として」

 今にも泣き出しそうな顔を背けマリがさっと立ち上がった。

「帰るわ。送ってくれる?」

「わかった。椿、先に休んでいてくれ」

「・・はい」

 連れ立って部屋を出ていく二人の後ろ姿を椿は切ない思いで見送った。

    ***

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