溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「わたし、今まで、自分が不幸だなんて思わなかった。そんなこと思ったら罰が当たるって思って・・楓さん、叔母がいてくれるんだから、充分幸せだって。でも、でも、他のみんなと違うこと、みんながうれしそうに話すこと、腹が立つって話すこと、みんな自分にはなくて、全部・・全部、羨ましかった。友達に誘われてもお掃除やお洗濯や、ご飯作ったりしないといけなかったから遊びに行けなかったから、遊びにいく様子が羨ましかった。でも、みんな家々違って、楓さんと二人の生活だから得られる幸せもあるから、それで充分だって・・でも、匠さんと二人になって、なんだか、やっと、みんなと同じことをしてるって思えて、うれしくて、幸せで・・なのにマリさんの邪魔をしているって思うと、苦しくて・・」

『邪魔は・・言葉のあやってもんよ。本気じゃないわ』

 ふるふると激しくかぶりを振る。

「わたしがそう思うんです。邪魔したって」

『・・それを言われたら、私だって邪魔したことに・・なるじゃない?』

「そんなことない。だって、わたしはどこで、どうやって匠さんと出会っているのか思い出せなくて、出会って間もないって、そう思えて仕方がないからっ。でも、そうじゃなくても、匠さんには相応しくない。誰か見たって、釣り合わないから」

『ツバキって、ホント、バカね』

 椿の肩がビクっと震えた。

『だってさ、タクミが好きだって言ってるのに、釣り合わないっておかしくない? 椿の言う〝釣り合う〟って私みたいなお金持ちのご令嬢で、美人でプロポーションもよくてファッションセンスもいい女ことを言ってるんでしょ? じゃあ、そういう女とタクミが無理やり結婚して、タクミが幸せって思えると思ってるの? だったら、ソレ、すっごい嫌味よね、私に対して』

「――――――」

『タクミ本人が私じゃなくて、ツバキがいいって言ってるのに、そんな理由でタクミの望んでいる幸福を否定するなんてバカじゃない。そう思わない?』

「・・・・・かも、しれません。そんなふうに考えたことなかった・・」

『だったらたった今からバカ返上して賢くなりなさい。私に申し訳ないって思って努力しなさいよ』

 椿が「はい」と消え入りそうな声で返事をすると、マリは「はぁ」と呆れたような感じの大きなため息をついた。
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