溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「ふ」

『は? なに?』

「ふふふふふ・・」

『ツバキ? どうしたの? 壊れた?』

「ふふふふふふふ・・マリさん、おかしい。ふふふ・・ははははっ。ヤだ、おかしい。止まんない。お腹痛いっ。あはははは!」

 受話器の向こうでマリが沈黙しているのがわかっていながら笑いが止まらない。ひとしきり笑い続け、ようやく椿は落ち着くと、マリがまた話し始めた。

『ちょっとは元気になったみたいね。でもね、私は悔しいのよ。明るく振る舞っているだけ。とっても悔しい。けど、悔しいと思えば思うほど、タクミの気持ちが一番大事で、タクミが幸せにしてあげたいって思ってるのがツバキなんだって思えて、ツバキはタクミに幸せにしてもらうべきなんだって思ったのよ。幸せなんて人によって解釈とか考え方とか違うけど、椿は幸せになるべきだって思った。だから私のことは気にしなくていい。だけど、タクミのために、早く思い出してあげて』

「・・はい」

『だってタクミ、好きなんだと自覚したのは最近だって言ってたけど、ツバキのことは十四年も見守っていたんだもん。思い出してあげないと報われないわよ』

「・・・・はい」

『じゃね、おやすみ』

「おやすみなさい」

 電話が切れた。椿はしばらくスマートフォンを眺めていたが、その視線を天井に向けた。

 マリの切なさが改めて伝わってきて胸が締めつけられる。

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