溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
(ごめんなさい、マリさん。わたしが不甲斐なくて、ぜんぜん匠さんとの出会いがいつだったのかまったく思い出せないばっかりに――え?)

 はっと胸が突かれ、息を詰める。

――ツバキのことは十四年も見守っていたんだもん。思い出してあげないと報われないわよ。

(十四年?)

 ドキン! ドキン! と心臓が強く打つ。

(十四年も見守っていた? マリさん、確かに十四年って言ったよね?)

 十四年前と言えば、椿は八つだ。

(八歳の時にはじめて会ったってこと? あの時はお母さんが入院していたから、ほとんど学校と病院を行ったり来たりで・・)

 八歳の女の子が一人で病院に行くことに叔母は危険だと言って反対し、よく叱られた。だがどうしても母に会いたくて、学童保育が終わったら家に戻らず病院に行ったものだった。友達もほとんどいなかったし、誰かと遊びに行くことも、クラスメートの家族に会うこともない。だから男性の知り合いなんて、学校の先生と病院に関係してる人くらいしかいない。医者、看護師、事務スタッフ、バスやタクシーの運転手なども顔見知りになった男性はいるが。

(待って、匠さん、十歳違いだからその当時は十八、高校生ってことになる。あるいは大学一年。そんな人、会う機会なんてまったくない。あの時知り合ったのは、ゆりこおばさんくらいだけど・・)

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