溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 椿はコンビニ弁当を食べながらもう一度部屋を見渡した。そしてある一点で目を止めた。

(ゆりこおばさん・・)

 十五センチ四方のガラスケースの中にクリスタルで作られたピンヒールがある。シンデレラのガラスの靴だ。母が入院していた病院で知り合った女性が椿にプレゼントしてくれたものだった。左足用のデザインで、蛍光灯の光を受けてキラキラと輝いている。

 椿はガラスの靴を履いたシンデレラがカボチャの馬車に揺られて城へ行くシーンを思い浮かべ、それを自分に重ね合わせてみた。ガラスのハイヒールを履いてガラス張りの高層ビルに向かう自分。そして、ふっ、と笑った。あまりにも違いすぎる。

(わたしは働きに行くのだから、周囲の人に早く認めてもらえるように頑張らないと。恋愛なんてまだ先の話)

 運よく出会いがあるかもしれない。だがそれは一生懸命働いている延長線上でのこと。今はそんなことを考えている場合ではない。一日でも早く仕事を覚え、一人前にならなければいけない。それがもっとも重要だと気合いを入れ直した。


 ***
< 16 / 186 >

この作品をシェア

pagetop