溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
(顔が痛いほど熱い・・)

 部屋に行って着替えを取りバスルームに向かう。さっと服を脱ぎ、さぁお風呂、と思ってふと動きを止めた。鏡に映っている自分の体を凝視する。

(マリさん、プロポーション抜群だった。私はなんか・・貧弱)

 真壁のもっと太れという言葉を思い出す。

(男の人は抱き心地のいい適度にお肉のついた体のほうが好きなのかな)

 今まで考えたこともなかったことをぼんやり思い、はっと我に返って赤面する。それからバスルームに入ってバスタブに浸かった。

 温かい湯の中で弛緩しながら思うのは真壁のことだ。それ以外、考えられない。

 好き、なのではない。好きで好きで仕方がないのだ。

 自分がこんなにも想っていることを知り、改めて驚いた。

(だって匠さん、かっこよすぎるんだもん。江戸切子のピンヒールなんて普通思いつかないんじゃない? しかも歩けないとはいえ、ちゃんと履けるんだから)

 思い出すだけでため息が出る美しさだ。細かな意匠が光を受けてキラキラと乱反射して輝いているのだ。色も飾りもついていないが、江戸切子のデザインが鮮やかで目を奪われる。真壁がそれを椿のために特注してくれたことに、泣きたくなるほど胸がいっぱいになってくる。

 言葉で言ってほしいこと、言葉でなく態度で示したほしいこといろいろあるが、彼はすべて察して椿に贈ってくれる。愛を感じないはずがない。

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