溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「では、椿をどこに異動させるかってことになるんだけど、もちろん椿の希望を聞いて考慮したいんだが、僕としては〝母〟になってほしいと思うんだよね」

「・・・・・・・えっ? ハハ?」

「そう、母親。椿は若いけど、僕はもう三十二で、秋に三十三になる。早く子どもがほしいなぁと思うんだ。ウチの両親も孫々言ってうるさいし。なので一年後、山瀬さんとバトンタッチする形で、椿が育産休に入るのがいいかなぁ~ってね」

 ニマっと笑う真壁の顔に椿はただただ呆然となるだけだ。

「あくまで希望だけど」
 希望――その言葉は先ほど風呂場で考え悩んだことを思い浮かべさせる。

(匠さんにアピールできるものがほしいって思ったけど、二人が幸せになるために、わたしができることを無理せずやればいいんだ。匠さんがわたしたちの子どもがほしいと望んでいるなら、早く生まれるように自分の体を大事にして、匠さんをいっぱい愛したらいい……)

 椿の顔に明るく愛らしい笑みが浮かぶ。

「とってもいい案だと思うわ」

 心からそう答えた。

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