溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 山瀬が答えている間にコーヒーメーカーから湯気が立ち昇っていい香りが広がる。出来上がったコーヒーをマグカップに注ぎ、椿はトレーに載せて真壁のもとに運んだ。

「どうぞ」

「ありがとう。さっきはビックリしたんじゃない?」

「そうですね・・驚きました。意外で・・」

「意外? そう? 熱くなったらけっこう怒鳴ってしまうけどね。気をつけるよ」

「そんな・・」

 ふと真壁の手元を見ると、二台のノート型パソコンの他にプリントアウトされた資料がいくつも広げられている。そこには棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなどが多く描かれ、細かい注釈がつけられていた。

(こんな細かい資料をいつも眺めているんだ)

 礼をして部屋を出て自席に戻った椿に山瀬が話しかけてきた。

「今日みたいにご自分から飲みものを要求されるのは珍しいほう。怒れば怒るほど内にこもってのめり込むタイプだから、休憩のタイミングも見ておいてね」

「はい」

「ホント、ストイックなのよね。誰よりも仕事されるから、みんな文句言えないって感じ。でもトップが仕事虫だと部下は大変なんで、私たちはそのあたり、うまく息を抜いてもらえるようにしないといけないわ」

「わかりました。でも・・難しいです。集中されているのに声をかけて邪魔するというのは・・」

「時には叱られることもあるけど、でも人間の集中力には限界があるから、そこは上手に計算して声をかけて休ませるの」

「はぁ・・わかりました」

 やはりなかなか難しそうだ。椿は改めてそう思った。

    ***
< 27 / 186 >

この作品をシェア

pagetop