溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「なるほど。それはやむを得ないところもあるが、責められた時、謝るばかりが能じゃない。どちらも掴まらないのだから仕方がないことを強く言い返していいんだ。背負いこむことはないから、言うべきことは堂々と言い返せ。いいね」

「はい。気をつけます」

「じゃあ、スケジュール表のほうは処理を頼む。では行ってくる」

「あ、はいっ、いってらっしゃいませ」

 椿は慌てて立ち上がって深く礼をして真壁を見送った。

(そうだった、午前中は外で打ち合わせだったんだ。だから通りかかって・・うわ、助かった)

 そう思って、はうっと大きく息を吐き出す。自分の頼りなさが露呈してしまった。同時に真壁からの注意に胸が痛む。

 女ばかりの環境の中でこんなふうに強い口調で男性に注意や指導を受けたのはいつ以来だろうか。高校生の時に初老の男性教諭に注意を受けた時かもしれない。

 トクトクトク・・心臓が早鐘を打っている。

(ヤだ・・まだ緊張してる)

 その緊張が仕事のことで責められた痛みと少し違うような気がするが、椿はかぶりを振った。

(山瀬さんから聞いている聞いてないは問題じゃない。自分が受けてからの行動が大事。迷って時間をロスして相手を苛立たせたのはわたし。真壁社長に助けられたのもわたし。しっかりしなくちゃ!)

 大きく深呼吸をしてからパソコンに向かったのだった。

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