溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 全身にひやっと冷たいものが走る。

 ダンボールを頭からかぶるのはごめんだ。であれば、椅子から落ちてもいいから荷物だけは置いてしまったほうがいいかもしれない。

「ううう・・!」

 足までふるふると震え始めた。

(い、一か、八かっ!)

 えいやっと腕に力を込めようとした時、腰がぐっと抱きしめられ、いきなり下半身が安定した。

「あっ」

「早くそれを置いてしまえ」

「はいっ!」

 真壁がしっかりと椿の腰と椅子を支えてくれている。椿は言われた通りダンボールを棚の上に置き、奥まで押した。

「終わったか?」

「はい。すみません」

 真壁の腕が離れて自由になった。ほっと安堵に胸をなでおろし、椅子から降りた。

「バカ者!」

「ひぃっ」

 いきなり怒鳴られ驚いて肩をすくめる。ぎゅっと目を瞑ったあと、そっと見上げるとこわい顔をした真壁の視線とぶつかった。

「危ないだろう!」

「すみませんっ」

「どうして声をかけなかったんだ!」

「どうしてって・・」

 真壁のこと、まったく思い浮かばなかった。山瀬にさせられない、これくらい自分でできる、それしか思い浮かばなかった。
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