溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
(もしかして……各社の社長さん、全員挨拶する? まさか)

 全会社の社長が挨拶すれば日が暮れてしまう。主要会社の社長でも相当の数だろう。この合同入社式がいつまであるのか、椿はそれを思うと気が遠くなりそうな気がした。

『各社の社長にそれぞれ祝福を述べていただきたいところですが、時間に限りがありますので、マーケティング部門を引き受けておりますラクビズの代表取締役を務めておりますわたくしが締めの挨拶をさせていただます。真壁匠です。よろしくお願いいたします』

 挨拶の人物が変わると、場内からほわっとため息のような空気が広がった。舞台に立って話をしている真壁匠と名乗った男があまりにもかっこいいからだ。

(真壁社長……やっぱり人気あるんだ。俳優張りのイケメンだもんね。それはとってもよくわかる)

 今日から椿はこの若い社長が率いる会社で働く。そう思うだけで胸がときめいてくる。

 三十二歳、独身。身長は一八〇センチ前後だと聞いている。スラッとしていて立ち姿も堂々としていて立派だ。さらに笑顔が爽やかで、物腰も柔らかい。言葉遣いも丁寧。最終面接の時に現れた真壁には驚いてしまい、思わず見惚れてしまったものだった。

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