溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 銀座の中央通りを少し歩き、途中で折れる。そこで真壁が電話を始めた。何度かやり取りをして電話を切り、椿に顔を向ける。

「席のほうは大丈夫だって。急だったからどうかと思ったけど、なんとか確保してくれたよ。よく行く店だから融通をきかせてくれたんだろう。もうすぐそこだから」

「はい」

 どんな店なのか想像もつかないが、とりあえずお店が取れてよかった。

(でも・・銀座だったら高そう・・)

「見えてきた。あれだ」

 指さされた建物はいかにも高級そうな店だった。

「あの・・」

「ん?」

「こんな高級なお店だとは思ってなくて」

「大丈夫。よく利用する店だから僕は勝手を知っているんで任せてくれたらいいよ」

 そうではない。自分の分は自分で出すつもりでいるからだ。だが、それを口にするのはどうかと思え、なんと言うべきか思案する。

「もしかして、支払いのこと、気にしてる? 雪代さんの歓迎会なんだから僕が出すんで気にしないで」

「でも・・」

「たまたま二人だから僕がご馳走する形になるけど、大勢で来たらみんなで持つんだから、会の主役が気にすることじゃあないよ。さぁ」

「・・そうですか。では、厚かましいですが、すみません」

 真壁は満足そうにうなずいて店に入っていく。椿もそれに従った。

(うわ・・)

 店の造りから調度品から、どれもこれも高級感いっぱいだ。

< 40 / 186 >

この作品をシェア

pagetop