溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 渡されたアツアツの手拭きタオルで手を拭いたあと、メニューが差し出された。

「どれもおいしそう」

「好きなものを選んでいいよ」

「はい、でも・・」

 どんなものがあるのか見てみたい好奇心でページを丁寧に繰っていく。本当にどれもこれもおいしそうで、決められない。特に点心がそそられる。

「すみません、なんだか決められないのでお任せしていいですか? でも、えっと、厚かましいけど、小籠包は食べたいです」

「小籠包、いいねぇ。じゃあ、僕が決めさせてもらうよ。飲みものはどうする?」

「えーっと」

 ウーロン茶かジャスミン茶であたりで充分だったが、それでは色気がないような気がして、ライチサワーを頼むことにした。

 真壁は店員となにやらやり取りしてオーダーすると、すぐにドリンクとミネラルウォーターが運ばれてきた。

「では、雪代さんのラクビズ入社を祝って、乾杯」

「ありがとうございます。頑張ります!」

 チンとグラスを合わせて一口、口にする。甘いライチの味と炭酸が喉に心地よい。

 グラスを置くと計っていたかのように料理が運ばれてきた。キュウリと蒸し鶏とクラゲを使ったサラダと、湯気の立つ蒸籠が置かれる。

「点心をメインに注文したんだ」

「わぁ、可愛い」

 金魚の形をしたものや、紫陽花を思わせる花の形をしたものもある。皮も見慣れた白いものから半透明なもの、緑色や桃色をしたものもあってとても華やかだ。

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