溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 小籠包を食べ終えると、焼き物と揚げ物のセットが運ばれてきた。餃子と春巻きと焼きニラまんじゅう。それが終わると、大きな蒸籠がドンと置かれた。中には小皿に盛られた、エビチリ、麻婆豆腐、八宝菜、ふかひれのスープがあった。

「もうお腹いっぱいかも」

「慌てて食べることはないよ。このあと角煮まんじゅうと胡麻団子が出るみたいだよ」

「無理ですぅ~」

「大丈夫だよ。それに雪代さん細いから、僕としてはもう少しふっくらしてほしいな」

「だめですっ、太るのは」

「どうして? 男はガリガリよりふっくらしてるほうが好きだけど」

「え、そうなんですか?」

「そりゃそうだよ。柔らかいほうが抱き心地がいいからさ」

「・・え」

「え?」

 互いに見合って固まる。妙な沈黙の中、ようやく真壁は椿の気持ちを察したようで、咳払いをすると「すまない」と謝った。

「ちょっと調子に乗ってしまった。今のはセクハラ領域だったね。申し訳ない」

「いえいえ、そんなっ。それは別にいいんですけど、社長がそういう話をされるなんて思わなくて驚いただけです。あの・・」

「ん?」

「女性に興味がないんじゃあって聞いたもので」

 椿の問いに真壁は目を丸くした。

(あれ? 違う?)

「そんなことないよ。独身だし、忙しくて女性と交際している時間がなくて浮いた話がないからそんな噂を聞いたのかもしれないけど」

(じゃあ・・)

 様子を見にきたスタッフに真壁がビールの追加を注文する。椿もライチサワーのおかわりを頼んだ。

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