溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 なんだかんだと言いつつ、結局四種類の料理はすっかり食べきってしまった。真壁が言った通り、小ぶりの角煮まんじゅうとチャーシューまんじゅうが運ばれてきて、それも食べてしまった。さすがにもうお腹いっぱいだ。

「もう無理ぃ~」

 それでもアツアツ揚げたての胡麻団子が出ると残すのは忍びない。しかもデザートは別腹、というわけでこれを平らげた。

「冷たい杏仁豆腐でも頼む?」

「もういいですっ。これ以上食べたら出てきちゃいそうです。ホントにおいしかったです」

「喜んでもらえてよかった。明日から一人だけど、固くならずにリラックスして務めてくれたらいい。働くって長距離マラソンと同じだから良い時もあれば悪い時もあるし、成功もすれば失敗もする。目先の結果に振り回されず、一歩ずつ進んでいけばいいから」

「はいっ」

「それから、僕からお願いしたいことは、一人で悩んで抱え込まないでほしいということだ。致命的な状況にならないためには、早め早めに報告や相談をしてほしい。物事は隠すと得なことはないから」

「わかりました」

 真壁は、うん、と満足そうにうなずいた。

「これからいろいろあるだろうけど、よろしく頼むよ」

「少しでも早くお役に立てるように、誠心誠意頑張ります。よろしくお願いいたします」

「こちらこそ」

 今の優しげで穏やかな真壁からは、スタッフに怒鳴っていた姿などとても信じられない椿だった。

     ***
< 45 / 186 >

この作品をシェア

pagetop