溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「出社が十一時予定なら、普通にしてたって遅れる可能性大でしょ。なんでそこで連絡しとこうって思わないかな? 理解できない」

「・・すみません」

「つか、もう十五分遅れてるし。社長には確認の電話とかしたの?」

「い、いえ・・その、まだです」

「遅れているのに気づかなかったっての? マジで?」

「すみません。すぐに電話して、何時になるか確認します」

 スタッフが「それじゃあ遅いだろっ」ともらした時、扉があいた。

「あ」

「社長」

 二人の様子に真壁が目を丸くする。だが、この状況だけですべてを察したようだ。誰もなにも言わないのに、真壁はスタッフに向けて遅れてしまったことを詫びた。

「今からでも大丈夫かな」

「えぇ、まぁ」

「じゃあ、急ごう」

 二人がバタバタと部屋から出ていく。そんな様子を椿は泣きそうな目をして見送った。

 その後、昼を示すメロディが流れ始めた。椿は真壁に謝りたくて、戻ってくるのを待とうと思い席にいると、間もなく真壁が帰ってきた。

「あれ、まだ昼に行っていなかったの?」

「謝りたくて・・」

「そう。じゃあ、一緒に行こう。話したいことがある」

 叱られると思い、緊張に胸が痛い。椿はおとなしく真壁に追随した。

 てっきり社食に行くのだと思っていたのに、真壁はエレベーターには乗らず、階段を使って下に向かって下りようとする。エントランスを颯爽と歩いてビルを出てしまった。どうやら近隣の店に行くようだ。

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