溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 高い天井と、大理石の廊下を歩いてエレベーター前に来ると、すでに一基が扉をあけて待っていた。乗り込むと、なにもせずとも階層のボタンが点灯していて勝手に動き始めた。これもコンシェルジュが操作してくれていると説明されて驚く。

(こんなところでこれから住むの?)

 困惑は不安に変わる。場違いすぎて落ち着かない。椿はふとシンデレラを思い出した。

 シンデレラは継母とその娘たちにひどい目に遭わされたが、もともとは貴族の令嬢だったのだ。父親の再婚後はずっと汚い屋根裏での生活で暮らしていたとしても、貴族の生活の華やかさを知っている。王子さまと城で暮らすようになっても、違和感はないかもしれない。だが、椿は違う。生まれも育ちも庶民で、ハイソな家庭の生活なんでまったく知らない。

(こ、こんなところ・・とてもじゃないけど落ち着かない・・ダメ。気絶しそう・・)

 真壁だけではなく、住人すべてハイソな人たちなのだ。ヘンな目で見られたらどうしよう、みっともない真似をして笑われたらどうしよう、そんなことを考えてしまう。そしてそれは真壁をも笑い者にしてしまいかねない。

(うわ、やっぱり、無理!)

 そうこうしているうちにエレベーターが止まって真壁の部屋のある階に到着した。

「このフロアには四軒が住んでいる。ほとんど会わないけどね」

「・・そう、ですか」

 なんと答えたらいいのかわからず、そんな言葉しか出てこない。そして案内された部屋が玄関から豪華で絶句した。

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