溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 大理石の玄関。廊下を歩いてリビングに入ると床から天井までのガラスの窓が扇形に広がっている。その向こう側は高層ビルと東京湾の大パノラマだ。

(生きてる世界が違いすぎる)

 居心地の悪さに椿は思わず叫んでいた。

「とてもじゃないですけどこんなすごいところには住めません。プライベートセクレタリーの件はなかったことにしてください!」

「もう約束したんだから変更は不可だ」

「えぇっ! そんなっ。今ならまだっ」

「いや、ダメだ。引っ越しの作業は始まっているし、昨日、もう不動産会社に行って解約の話をつけている」

「えええええ・・」

 いつの間に、いや、昨日の間に、だ。一人暮らしをしていることを言ったのは木曜の夜。翌日の朝にすべての手配としたということか。なんという手際、というか強引さ。

 椿は無性に腹が立ってきた。なんの相談もなく、こんな勝手なことをされて怒りが湧かないはずがない。さっき一瞬でもきゅんとときめいた自分にすらムカつく

「社長!」

 そう叫ぶように言った時だった。真壁が椿の肩側の肩を掴んだかと思うと、真剣な表情を浮かべて言い放った。

「椿、君は面接の時にはじめて僕と会ったと思っているようだが、僕のほうはずっと前から君を知っている。本当はもっと違う形での再会を考えていたのだけど、予想外で、だからこそ運命を痛感した。もう君は僕のものだ。けっして逃がさない。だからずっと僕の傍にいるんだ。いいね」

 ――――――と。

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