溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 疑問が湧く。だが、そんな戸惑いに揺れる椿の心を察してか、真壁は後頭部に大きな手を回すとしっかりと掴み、顔を近づけてきた。

(え――)

 まさかの、キス?

 そう思って反射的に目を閉じてしまった。

(あ)

 触れたのは額。それから閉じてしまった瞼。

 慌てて瞼を開くと、至近距離に整った精悍な顔があって真剣なまなざしが落ちてくる。

「返事は?」

 もう一度、同じ問いかけ。促し。もう椿は迷いを抱くことなどできなかった。

「はい」

「よくできました。椿、本当に可愛いね」

「・・そんなこと、ない、です」

「そんなことあるよ。だから、早く思い出してほしい」

 思い出す・・その言葉に戸惑いつつも、真壁の胸の中にいる自分が冷静さを保つだけで精いっぱいだ。気を抜いた瞬間、意識はどこかへ飛んで行ってしまいそうだ。

(温かい)

 密着こそしていないが、もう触れてしまいそうな距離にある二人の体は、互いが発する熱に包まれている。めまいがしそうなほど、甘く、麗しい。

 とろんと蕩けた心が真壁にしがみつきそうになった時、ドアフォンが鳴って椿を現実の世界へ引き戻した。

「いいところだったのに、野暮だね」

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