溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 ゆりこおばさんに紹介された時、ラクビズのこと、社長の真壁のことはそれなりに調べた。

 シンウォール・ホールディングスの一企業ではあるが、業績も良く、会社を束ねる真壁匠は若いながらに手腕を発揮している有能な経営者だと評価されていた。

 だから人として経営者として尊敬の念は抱いていたが、ここにきてなんだか上司と部下の関係が揺らいできている気がする。いや、違う。ラクビズの社長と秘書という主従ではなく、一個人真壁匠と雪代椿の雇用関係になっている気がするのだ。

(秘書であり家政婦? まぁ、家事は全般できるから期待には応えられるだろうけど)

 家事は小学生の時からやっていた。掃除も洗濯も料理も。一日働いて疲れて帰ってくる叔母を楽させようと、学校から帰ってきたら家のことをしたので慣れたものだ。

「とりあえず、今日は椿の得意なものをリクエストしたい」

 そう言われると逆につらい。あまり時間がかからないものを思い浮かべてみた。

「じゃあ・・」

「うん」

「ハンバーグ、とか・・」

「それでいい」

 にっこり蕩けるような微笑みにぽーっと見惚れてしまう。

「食材は数日分買い込んでおけばいい。明日は僕の好きなものでもいい?」

「はい、ぜひ」

「カルボナーラがいいなぁ」

 椿は真壁を見上げた。

(パスタ好き? それともクリーム系好き?)

 そんなことを考えいると真壁が困ったような顔をして問いかけてきた。

「なに? ダメだった?」

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