溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「? どういう意味ですか?」

「王子さまは部下にシンデレラを捜すように命じ、自分は城でじっと待っているだけでなにもしない。だけど、そうなんだ、じっと待っているんだよ、一人孤独に」

 椿が首を傾げる。

「シンデレラ、どこにいる? 早く僕の前に出てきてくれ。姿を現してくれって思っている。ひたすら忍耐強く、じっと。恋した麗しい人を想って。だけどそのシンデレラは我が身の立場を思ってあきらめきっている。切ないね」

 椿の頬にふわりと優しく真壁の大きな手が触れた。温かさがジンと伝わってくる。だがそれ以上にまなざしが熱くて椿の心臓を激しく震わせる。

「早く、気づいてほしい」

「・・匠さん?」

「僕が君を待っていることに。椿」

 驚いている椿に向けて真壁はもう一度深く微笑むと、立ち上がった。

「片付け、まだ終わらなさそう?」

「・・いえ、今日は、もうおしまいです」

「だったら風呂、先に入って。僕はもう少し仕事しているから。おやすみ」

「おやすみなさい」

 軽く手を上げて部屋をあとにした真壁の背を椿はぼんやりと見送った。

 心臓の音がやけに大きく聞こえて――

    ***
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