溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 椿が気を取り直し、立ち上がった。そして風呂から出ると体を拭いてパジャマを手に取った。

「これ、どうだろう・・おかしくない?」

 今まで使っていたパジャマ。ごく普通のものだ。クマのイラストがついているのだが。

 改めて見てみると子どもっぽいような気がする。

 椿はまたしても、はぁ、と吐息を落とした。

 こんな小さなことが気になる。

(当然よね)

 男の人と一緒に暮らすのだから。

 風邪を引いてはいけないのでとりあえず着てしまうが、だんだんいたたまれない気持ちが湧いてきた。ドライヤーで髪を乾かし始めると、その思いはますます強まる。

(わたし・・早まったかな・・)

 どんなに言い訳しても、男性が一人で暮らす家に転がり込んでしまった。どんな立場であろうが、これを〝同棲〟と呼ばずしてどう表現すればいいのだ。同棲以外のなにものでもない。


 しかも居座られたのはなく、自らやって来たのだ。なにが起こっても言い訳などできない。真壁はあぁ言うが、叔母が納得するとはとても思えないし、もし了解したなら、それは丸め込まれたと言うべきではないだろうか。

 さっきは頬を撫でられた。キスもされた。

(・・・・・・・)

 指先で唇に触れてみる。

 ジンと熱くなったような気がする。

 そして心の奥のほうからふつふつと、なんだかわからないものが湧き上がってくる。椿はこの甘い疼きに困惑し、不安を覚えずにはいられなかった。

    ***
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