溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 一度部屋に行って服を置き、次にリビングに向かうと、真壁はソファに座ったまま眠っていた。近くでプリンタが音を立てているところを見ると、印刷指示を出し、終わるのを待っている間に眠ってしまったのだろう。

(確かにこれじゃあ、秘書というか家政婦というか、誰か雑用をやってくれる人がほしいと思うよね)

 腑に落ちて胸の奥にキンと痛みが走った。なんとなく苦い思いを感じつつ、改めて真壁を見ると、あっと思った。

(メガネ・・)

 細いシルバーフレームのメガネをしている。普段はしていないのに。

 それがまたいつもの印象を変え、より知的に見せる。

 山瀬から、真壁は大学在籍中にアメリカへ行き、二年ほど留学して戻ってきたと教えられた。英語が堪能で、向こうにも多くの人脈もあるとのこと。

(山瀬さん、匠さんに異性の噂がないのは外国人女性が好みなんじゃないかって言ってたけど・・)

 ブロンドの美人でプロポーション抜群の女性が真壁の横になっていたら・・想像するとてもよく似合う。心がまたキンと痛み、自分がどうにかなってしまったような気がする。

(もっと・・)

 きれいに生まれたかった――今まで考えたこともないことが椿の頭をかすめた。

(やだ、わたし、ホントに惹かれる? うそ、違う。そんなことない。素敵な上司に憧れて、尊敬してるだけよ。公私を混同しちゃダメだって)

< 84 / 186 >

この作品をシェア

pagetop