溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「・・ふ、ぁ」

 そっとその柔らかな感触が離れていった。そして見つめ合う。

 熱いまなざしに巻かれて溶けてしまいそうだ。

「あ、の・・」

「キスはいけなかったな・・契約違反だった」

「・・・・・・・・」

「ごめん、悪かった。つい、椿が可愛いものだから。これからは気をつける。許してほしい」

「いえ、そんな・・えっと」

「風呂に入ってくる」

「・・はい」

 真壁は椿の腕を掴んでいた手を放して身を起こすと立ち上がった。壁にかかっている時計を見る。針は十一時を指していた。

「もう部屋にこもるよね? おやすみ」

「おやすみなさい」

 返事をする椿を真壁が一瞬仄暗いまなざしで見たかと思うと、ふっと笑みを浮かべ、リビングから出ていった。

 ぼんやりと真壁の背を見送る。いったいなにがどうなってしまったのか。

(今、の――)

 無意識に手が動いて指先が唇に触れた。

(ファーストキス)

    ***
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