コガレル(番外編)~弥生ホリック~
「ずっと見てたの。圭君を公私共に支えていけたら嬉し、」
「俺のことをどう思ってるか知らないけど、タレントに手を出したらクビだよ、うちの事務所」
よく分かってるはずだ。
「結婚すればギリOKだけど、俺は澤口に結婚どころか恋愛感情も持てない。あの人以外はありえない」
澤口は目を潤ませて俺を見上げてたけど、同情の余地もない。
呼び出されたのに追い返された弥生の理不尽さを思えば、俺の吐いた言葉に後悔は少しも感じなかった。
とりあえずマンションへ行ってみよう。
もしかしたらスマホの電池切れで、待ってるかも知れない。
澤口を振り返らずに、楽屋を後にした。