コガレル(番外編)~弥生ホリック~

 ガレージに車を止めると家を眺めた。
 吹き抜けの嵌め込みガラスから洩れた灯りが、俺を脱力させた。
 そっと玄関のドアを開ける。
 そこに女物の靴が置いてあった。
 俺の靴をそれに並べると、電気を消して足を進めた。

 リビングのソファで弥生は寝てた。
 その格好は春のコートを着たまま。
 上には何も掛けてない。
 車で聞いたラジオが言ってた。
 今日は二月に戻ってしまったような気温だって。

 馬鹿だね…風邪引くぞ。

 空調のスイッチを入れてから、暖炉に火を灯すと薪をくべた。
 それからソファに戻って、冷えた身体を抱きしめた。

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