忘れて、思い出して、知る


「双子の妹を連行して話を聞くと、全部話したそうだ。小林千明を殺してすぐに来た永野を、千明のフリをして追い返し、二宮に千明の携帯から電話をした。そして、そのまま誰の目につくことなく、家を出たらしい。殺害動機は……忘れた」



隼人の話を聞いていた四人は、拍子抜けする。


一番に笑ったのは、宙だ。



「さすが、警視長」


「まあ、解決した事件なんて、私たちにはもう関係ないし、別にいいんだけど」



律の言葉に隼人は大きく頷き、机の上に置いてあるペットボトルのコーヒーに手を伸ばす。


すると、隼人よりも先に、遥が取った。



「俺のなんで」



それを聞いて、隼人はここのルールを思い出した。



「今日の飲み物係は?」



律は宙を指さし、栞と遥は宙のほうを見る。


すると、宙はわざとらしく後ろを見る。



「あんただよ、チャラ男」



そんな宙に、律が冷たく言う。


宙は渋々冷蔵庫に向かう。



「警視長、もう水しかないですよ。あとなぜか、ケーキ」


「じゃあ水でいいや。火神、買いに行っとけよ」

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