俺が本当の恋を教えてやるよ。(仮)

――――バンッ
『だから!!!ぼーっとするなよ…』
ドアの隣に押さえつけられた。

目を開けると、長い手の相手は、先程の男性で。
私はドア隣の空いたスペースに背がついて、男性の腕が私を壁に押さえつける状態にあった。

『え、あの…』声をかけると、深いため息が聞こえた。
『お前、なんなの?おっちょこちょい?いやもうすべてがお前中心の世界だと思ってない?』またさっきの低い声で私に問いかける。

『ごめんなさい、ほんとに。』
上を向けずにただただ謝った。
電車はその間にも進み、目的地の駅に着き、ドアの開くアナウンスが聞こえた。

『ご、ごめんなさいほんと、わ、私その、降ります。お忙しいところ2度も助けて頂きありがとうございました。もう会うこと、助けてもらうことはないです、すみません!さよなら!!!』
ドアが空いた瞬間に激しく飛び出し、逃げるように電車をあとにした。

目の前の階段も、誰よりも先に走り抜け、
改札を出て、初めて自分の状況に理解をした。

(同じ制服、友達無理そうだな)
などと、考えぼーっとしていると、後ろから声をかけられた。

『さっきはすみませんでした!
前見てなくって、怪我とか大丈夫ですか?』
振り返るとぶつかってきた子。
『いえ!こちらこそすみませんでした。申し訳ないです』
と頭を下げる。

女の子達の1人が誰かが声をかける
『そのリボンの色、もしかしてタメじゃん!
でも入学式とかクラスじゃ見かけなかったけどどこクラス?』
リボンの色を見るとみんな青で一緒。
3年が緑。2年が赤。1年が青。色で学年はわけられ、専門学科の学校なのでクラスは2クラスのみらしい。

『それが、私今日が初めての登校で…クラス知らないんだよね』
『今日が初?ってことは、櫻田さん!?』
『そ、そうです…』
『いきなりごめんね!自己紹介するね!私が和木。このぶつかった子が望月!』
『望月です~さっきは彼氏と電話しながらだったからごめんねほんと!』
『でもさ』と2人が顔を合わせる。

『櫻田さんギャルじゃなくてよかった笑』
『ほんとほんと笑』

『え?ギャルなんてそんな、私なんか』
と返すと、意外な返事が帰ってきた。

『いやーね、入学式から3日ばっくれて理由が、風邪って退学希望かギャルだろうって話~。いやでもよかった!櫻田さんなら!これからよろしく!もっちーって呼んで』
『私は和木だけど下の名前が叶子だから…好きなように呼んで!よろしく!』

『よ、よろしくお願いします!!櫻田香蓮です!!』
さっきの重い空気が晴れ、笑顔で返す。
まさかの友達が一気に2人もでき、
色々な話をしていたら学校に着いていた。
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